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週末はまた夏日!? 熱中症対策をうたったワークマン「XShelter暑熱軽減ウェア」を体験してみた。着てる方が涼しいまである

ワークマン「WORKMAN 熱中症対策新製品発表会2025」

 ワークマンは都内で「WORKMAN 熱中症対策新製品発表会2025」を開催し、新製品の展示やデモンストレーションを行なった。

 今回の目玉となるのは、“熱中症4大リスク”である「気温・湿度・輻射熱・風」に対応できる世界初の「XShelter暑熱軽減ウェア」だ。そのほか、ペルチェを搭載した製品や80種類ほどのUVカット製品なども展示していた。

暑い夏を乗り切るための「XShelter」

14機能で熱中症を対策

 XShelterには熱中症につながるリスクを軽減するために14の機能を持たせている。熱中症は「気温」「湿度」「輻射熱」「風」の4つの要素が関係し、気温や湿度が高い場合、風が弱い場合はリスクが増大するため、気化冷却や遮熱率を高めた繊維を生地に使っている。

 説明では、表面には外部エネルギーを軽減できる「特殊酸化チタン融合ポリエステル糸」、裏側には水分を拡散して気化熱により生地の温度を下げる「多層疎水性ポリプロピレン糸」を用い、「骨格三次元構造」と呼ばれる先進的な繊維技術で生地を形成しているとのことだ。

 シンプルに言えば、外からは断熱し、内は気化熱で放散する仕組みだ。

熱中症対策として用意した「XShelter」
14の機能で熱中症のリスクを軽減する

 会場には14の機能が体験できるようにデモンストレーションコーナーも置かれ、生地の質感や接触冷感の具合、生地の断熱性能が分かるような対比実験などを行なっていた。おもしろい機能として「UVチェッカー」をファスナーに持たせた紹介コーナーもあった。

 このような機能性を持たせた衣料への定番質問事項として「洗濯すると機能は落ちるのか?」というものがあるのでスタッフに聞いたところ、「コーティングではなく、糸に機能性を持たせているので、洗濯しても劣化は少ない」とのことだ。

XShelterを体験できるデモコーナー
断熱性能の実験コーナー。熱源をエネルギーにした風車が動いている
断熱機能を持たない生地は風車が回ったまま
XShelterの生地を置くと、風車が止まった
生地に霧吹きで水をかけ、気化冷却で温度変化が分かるようにした実験
サーモグラフィーで見ると、XShelterの生地は表面温度がかなり低下した
UV変色ファスナーの実験コーナー
UVライトでファスナーを照らす
紫外線を浴びた部分は青く変色する

 実際にXShelterを着用できる体験コーナーもあったので、筆者も参加してみた。250Wのハロゲン電球を8灯、LEDフィラメント電球を48灯も設置した40度以上の気温を再現した“暑熱ルーム”のなかで着心地を体験するものだ。

 別室でXShelterを着用したところ、最初に感じたのは生地は薄くて軽く、接触冷感の機能があるので、ヒンヤリとしている感じだ。触れた感じはサラリとしており、このあたりは説明のとおりだった。

 そして、暑熱ルームのなかに移動すると、着用している部分はそれほど熱を感じない感覚で、断熱性能がかなり効いているようだった。また、気化冷却を最大限に体験するために霧吹きで水分をかけてもらうと、その部分はすうーっと熱を奪われて、かなりの冷却効果があるのを感じた。

40度以上に室温を上げた暑熱ルーム
「XShelter暑熱ジャケット」を着用
腕に霧吹きで水をかけると、気化冷却でかなり涼しくなる
腕の部分は22.5℃まで下がった

XShelterは10アイテムを発売

 上着は「XShelter暑熱ジャケット」「XShelter暑熱半袖シャツ」「XShelter暑熱フーディ」「XShelter暑熱ポンチョ」「XShelter暑熱半袖ポロシャツ」の5種類、パンツは「XShelter暑熱クライミングパンツ」「XShelter暑熱ショートパンツ」の2種類、帽子は「XShelter暑熱CAP」「XShelter暑熱ハット」の2種類をラインアップ。そして、子供向けに「XShelter暑熱フーディKids」を販売する。価格は980円~2900円と、ワークマンらしいコスパのよさだ。

 ちなみにUV変色機能はアイテムによって異なり、ファスナー以外ではポケットのフラップ裏のロゴ部分であったり、ファスナーの引手のロゴなど、アイテムのデザインに合わせたものが採用されている。

XShelterのカタログ
半袖ポロシャツとショートパンツの組み合わせ
取り外し可能なフェイスガードも装備しているポンチョ

XShelterは47万点を用意し、22億円の売上を見込む

 発表会では専務取締役の土屋哲雄氏が登壇し、XShelterについて説明した。従来の販売戦略からすると新製品は2万点ほどと、それほどロットは多くないが、XShelterに関しては10アイテムで47万点、販売金額は22億円と強気の目標を設定している。

 その背景にあるのは、年々上昇する気温とともに、厚生労働省が働く人の熱中症対策を企業に罰則付きで義務づける方針を示していることだ。4月上旬にも労働安全衛生規則を改正し、6月から施行すると言われている規則では、対策を怠った場合は6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科される予定だ。そのため、旺盛な需要が見込めると土屋氏は説明した。

株式会社ワークマン 専務取締役 土屋哲雄氏
XShelterの機能や販売目標を説明

ペルチェが5個に増えたペルチェベストの新製品

 ペルチェ素子を用いた冷却・温熱ベストの新製品が「WindCore ICE×HEATERペルチェベストPRO2」と「WindCore ICE×HEATERペルチェベストPRO2 スペシャルエディション」だ。

 ペルチェベストPRO2はシリーズの3代目にあたり、ペルチェの追加や機能強化が施されている。価格はペルチェベストPRO2が1万9800円、ペルチェベストPRO2 スペシャルエディションが2万5000円。ペルチェベストPRO2は販売開始されているが、スペシャルエディションは6月に発売する予定だ。

「WindCore ICE×HEATERペルチェベストPRO2」
「WindCore ICE×HEATERペルチェベストPRO2 スペシャルエディション」
左が冷却モードで動作しているペルチェベストPRO2で、右が温熱モードで動作しているスペシャルエディション

 前モデルから変わった点は、前の両胸下あたりにペルチェを2個追加し、背中下部のペルチェを肩のダイヤルで位置を上下に調整できるようになったこと、それとバッテリーが容量はそのままでよりコンパクトになったことだ。

パワーアップした点を紹介しているパネル
新型セルを採用したことで、従来よりも小型になったバッテリー
肩のダイヤルを回してペルチェを上に引き上げたところ

 スペシャルエディションの大きな特徴としては、ペルチェ部分にLEDを備えているため、夜間の視認性が増している点だ。そのほか、肩の部分には耐摩耗性に優れた高耐久ナイロンを使用し、ペルチェはブラック仕上げで高級感を演出、内側の生地には限定のカモフラ柄を採用している。

スペシャルエディションの説明

 土屋氏のプレゼンでは、2023年は3万着を作って完売し、2024年は5万着生産で同じく完売しているヒット商品とのこと。今年は前述した熱中症対策を企業も本腰を入れなければならない理由から、10万着を用意すると話していた。

熱中症のリスクを知らせるリストバンドの新製品

 熱中症のリスクを事前に察知して通知するアイテムが「アラート機能付き暑熱バンド PRO」だ。価格は2900円で、発売は5月を予定している。体の深部温度を予測するセンサーを搭載しており、危険だと思われるしきい値を超えるとLEDと振動で知らせてくれる。

熱中症のリスクを知らせてくれる「アラート機能付き暑熱バンド PRO」

 今回発売する2025年モデルでは、防塵・防水機能を強化し、ベルトを装着しやすく、外れにくい仕様に変更した。また、ベルトから本体を取り外して汗などを拭きとりやすくしている点も大きな改良点だ。

左が2024年モデルで、右が2025年モデル
手首に装着したところ。青色は正常で、注意レベルだと黄色に、警告レベルだと赤色に変わる
汗がこもって誤動作するという反省点から取り外せるように仕様を変更

UVカット製品も展示

 夏向け製品として、UVカットをうたったレディース製品も数多く展示されていた。特にパーカー類は売れ行きがよいので、今年も力を入れた製品をラインアップしているとのこと。また、同社のWebでは、晴れの日は紫外線の強さを、雨の日は雨滴の強さを5段階で表示して最適な製品をお勧めする「レイン・UVカット快適グレード予報」も行なっている。製品には機能レベルごとにグレードを表記しているので、選ぶ際の目安にしてもらいたいとのことだ。

「LクールUVサンシェードパーカー」(1900円)
「LクールUVサンシェードパーカーEX」(2300円)
UVカットのグレード
レイングレード
UVカットグレード5として紹介していた「LクールUVサンシェードパーカー」